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Q「父親は親権者になれないのですか?」

妻が一人で自宅から出ていきました。別居の原因は、家計の管理や育児の方針について、お互いの考えが合わなかったことです。

現在、妻との間で離婚に向けた話をしています。離婚をすることやお金のことではおおむね意向が一致しているのですが、息子の親権者をどちらにするかで揉めています。

息子はまだ1歳です。私は平日日中は働いているので、直接子どもの面倒を見ることができません。現在、私の母に自宅に来てもらい、平日日中は母に息子を見てもらっています。今後、私が実家に戻って実家の近くで仕事を探すのか、現在の自宅の近くで保育園を探すのかは決めかねています。

妻は、「男親では子どもを育てられない」「日本の法律では母親が親権者になると決まっている」と言い張っています。

私としては、自分の手で息子を育てたいと思っています。本当に父親は親権者になれないのですか? 私が親権者になるためには、今後どうすればよいのでしょうか?

A「父親が親権者になることもあります」

一般論としては母親が親権者になる事案が多いのですが、必ず母親が親権者になるというわけではありません。父親が親権者になる事案もあります。

家庭裁判所が乳幼児の親権者を定めるとき、「母性優先の原則」と「継続性の原則」という考え方を重視しています。

「母性優先の原則」とは、母性的な役割を果たす親との関係を優先するという考え方です。乳幼児には、母性的な役割を果たす者が必要不可欠であると考えられているからです。よく誤解されていますが、「母性優先の原則」であって、「母親優先の原則」ではありません。一般的には、生物学上の母親が母性的な役割を果たしていることが多いようですが、父親が育児を積極的に行っているときには、父親が母性的な役割を果たしていることもあります。

「継続性の原則」とは、現実に子を監護している親を優先させるという考え方です。現在の監護状況が安定しているのであれば、その環境を変更させることは子どもにとって望ましくないと考えられているからです。

一般的には、乳幼児がいる夫婦が別居するときには、母親が子どもを連れて自宅を出る場合や父親が一人で自宅を出る場合が多いようです。これらの場合に「母性優性の原則」と「継続性の原則」を重視すると、現に母親が子どもを監護している状況に大きな問題がないのであれば、母親を親権者にするという判断になりやすいのです。そのため、親権の所在に争いがある事件では、母親が親権者になることが圧倒的に多くなります。

もっとも、上述の事情はあくまでも一般論です。事案によっては、父親が親権者になることもあり得ます。

貴方の場合、母親が子供を置いて一人で自宅を出ており、現に父親側が子どもを監護していますので、父親が親権者になる可能性が十分にある事案と思います。今後の親権を巡る争いで優位にたつためには、できる限り貴方自身が育児を行うようにしてください。また、ご両親とも協議して今後の監護の方針を固めて、監護の実績を積み重ねてください。

(2016年5月6日更新)


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