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Q「ソーシャルゲームで破産すると免責されないのですか?」

病気が原因で失業しました。医師によれば、近い内に再就職するのは難しい、とのことです。今後、生活保護を受給することも考えています。

クレジットカードのショッピング枠の残高が合計で200万円近くあります。主な使い道は、ソシャゲ(ソーシャルゲーム)です。欲しいキャラクターがでるまでガチャをまわし、毎月の給料では足らないのでリボ払にし、気がつくと残高が膨れ上がっていました。

現状では支払いができそうにないので、自己破産を考えています。ですが、友人から「ソシャゲで自己破産する人が増えて問題になったので、最近法律が改正され、ソシャゲで破産しても免責されなくなった」と聞きました。

自己破産で整理することができないのであれば、今後どうすればよいのですか?

A「ソーシャルゲームが負債原因でも免責されることがあります」

ソーシャルゲームが負債原因でも免責されることがあります。

破産法では、原則として破産すると免責が許されることになっています。例外として、免責不許可事由が存在するときには、免責が許されないことになっています(破産法252条1項)。免責不許可事由の中には、「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」があります(破産法252条1項4号)。借金が増えた原因の中に、収入に見合わない過大な支出があると、免責不許可事由である「浪費」があるといえます。貴方の場合、借入れの経緯からすると、「浪費」があるといえるでしょう。

もっとも、「浪費」がある場合には必ず免責されないのかというと、そうではありません。破産法では、免責不許可事由がある場合でも、裁判所が諸般の事情を考慮して裁量で免責を許すことができます(破産法252条2項)。どのような場合に裁量免責が許されるかは各裁判所の運用によっても異なるのですが、借入の原因に浪費等があった場合には緩やかに裁量免責が許される傾向があります。借入前の浪費等が理由で免責不許可になるのは、極一部の悪質な事案に限られているようです。貴方の場合、病院が原因で仕事を続けられなくなったという事情もありますから、「浪費」があるとされても、裁量免責が許されるでしょう。

「最近法律が改正され、ソシャゲで破産しても免責されなくなった」というのは誤解です。

破産事件については、裁判所が準備した定型の書式があり、破産申立てのときにはその書式が使われます。例えば、東京地方裁判所の書式では、免責不許可事由の欄では「本件破産申立に至る経緯の中で、申立人が、当時の資産・収入に見合わない過大な支出又は賭博その他の射幸行為をしたことがありますか」という質問があり、ある場合にはその内容を「飲食」「風俗」「買い物」「旅行」「パチンコ」「競馬」「競輪」「競艇」「麻雀」「株式投資」「商品先物取引」「その他」の中からチェックすることになっています。ソーシャルゲームが負債原因の場合、「その他」にチェックします。

2015年4月に大阪地方裁判所の書式が改定されました。その際、免責不許可事由の欄で従来は「その他」となっていたところが、「その他(ゲーム代その他の有料サイト利用代等)」になり、ソーシャルゲーム等が「浪費」であること明確にされました。おそらくソーシャルゲーム等が原因で破産する人が増えたので、このような改定がなされたのでしょう。この改定がTwitter等で話題になり、一般の方の目にもとまったようです。

ですが、この改定は、法律の改正ではなく、大阪地方裁判所の書式の改定にすぎません。破産法上、ソーシャルゲームは免責不許可事由である「浪費」になり得ますし、免責不許可事由がある場合でも裁量免責が許される余地はあります。このことは従前から変わっていません。ソーシャルゲームが負債原因のときは免責が許されなくなった、というわけではないのです。

負債原因がソーシャルゲームだからといって、免責を諦めるのではなく、現在の貴方の状況に応じて適切な方法で借金を整理するべきでしょう。

(2016年4月7日更新)


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