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Q「相続の手続きはいつまでにすればよいのですか?」

夫が亡くなりました。先日、四十九日が終わったところです。急に亡くなったのでバタバタしていましたが、子ども達との間ではそろそろ相続の手続きをしなければ、という話をしています。相続の手続きはいつまでにすればよいのでしょうか。

遺言書はありません。夫は生前に商売をしていました。数年前に廃業をしているのですが、A銀行に負債が残っていて、少しずつ返済していたようです。詳しい残高等は父でないとわかりません。

知人からは「相続の手続きは10か月以内にすればよい」と言われていますが、そうなのでしょうか。

A「相続放棄の期限は3か月です。遺産分割の期限はありません」

相続放棄の期限は3か月

ご主人に負債があるのであれば、そろそろ急がれた方がよいです。

亡くなられた方の債務は、法定相続人が引き継ぐことになっています。ご主人に負債があるのであれば、法定相続人である貴方達がご主人の負債を支払わなければなりません。他にご主人の資産があれば仕方がありませんが、ご主人の資産と負債を比較して負債の方が上回っている場合、相続をしてしまうと貴方達にとって不利益になってしまいます。この場合、相続をしないためには、家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。相続放棄をするには、自己のために相続開始があったことを知った時、つまり通常であればご主人が亡くなった時から3か月の熟慮期間の内に家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければなりません(民法915条1項本文)。

10か月以内というのは、相続税の申告期限のことだと思います。相続税法上は、ご主人が亡くなった日の翌日から10か月以内に相続税の申告をしなければならないことになっています。ですが、相続税の申告期限と相続放棄の期間制限はまったく別の制度ですから、直接の関係はありません。

貴方のすることは、まずは亡くなったご主人の資産と負債に何があるのかを調べることです。3か月以内に調べきれればよいのですが、調べきれなかったときには、相続放棄すべきかを判断することができませんから、家庭裁判所に相続放棄の熟慮期間の伸長を請求してください。請求が認められれば、相続放棄の期間を一定程度(通常であればもう3ヶ月間)延長されます(民法915条1項ただし書)。この手続きをしないと、3か月間の熟慮期間が経過した時点で相続放棄ができなくなるおそれがあります。また、法定相続人であるお子様も一緒に手続きをしてください。

遺産分割の期限はない

相続放棄をする必要がない場合には、ご主人の遺産をどのように引き継ぐのかを法定相続人の間で話し合うことになります。法定相続人の間で話し合いがつけば、遺産分割協議を成立させます。

遺産分割協議は、いつまでに成立させなければならないという期間制限はありません(民法907条1項)。とはいえ、相続税を申告をするときまでには遺産分割協議が成立していることが望ましいので、亡くなってから10か月以内に遺産分割協議を成立させるというのが一つの目安にはなるでしょう。

ですが、必ずしも相続税の申告のときまでに遺産分割協議を成立させなければならないという訳ではありません。様々な事情によって、亡くなってから10か月経っても遺産分割協議が成立しないことは珍しくありません。この場合は、いったん法定相続分に従って相続税の申告をし、後日、遺産分割協議が成立してから、相続税の修正申告等をして納税額を調整します。詳しい手続は、弁護士ではなく税理士に相談してください。


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