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Q「訴状に嘘ばかり書いてあるのですが?」

個人事業主をしています。私が雇用していたAさんが仕事上で何度もミスをして会社に損害を与えており、再三に渡って指導したにもかかわらず改善が見られませんでした。Aさんとは、話し合った末、辞めてもらうことになりました。

先日、地方裁判所から訴状と呼出状が届きました。退職したAさんが私を被告として損害賠償を請求してきたのです。訴状の内容は嘘ばかりです。Aさんが辞めた理由は私のセクハラとパワハラが原因ということになっていますが、事実無根です。その一方で、Aさんが仕事上で何度もミスをしていたことには一言も触れていません。裁判所がこんな嘘ばかりの書類を私に送ってくるということはどういうつもりなのですか?

Aさんには弁護士が代理人になっているようです。弁護士が勝ち目がない依頼を受けないようですから、弁護士が依頼を受けたということはAさんの言っていることが真実と認めたということですか?

あまりにも嘘ばかりが書かれていてバカバカしいので、答弁書を提出せず、期日にも出頭しないつもりです。それで私に何か不利益がありますか?

A「必ず答弁書を提出し、絶対に無視をしないでください」

訴状は原告の言い分を記載した書面です。裁判になっているくらいですから、原告であるAさんと被告である貴方との間で事件に関する認識が大きく違うのはむしろ当然のことです。ですから、貴方が「訴状の内容は嘘ばかり」と思われても特に不思議はありません。

裁判所は、訴状が提出されると、当事者の氏名等が記載されているか、原告は裁判所に対してどのような判断を求めているのか、所定の収入印紙が貼られているか等の形式的な審査は行います。ですが、訴状の内容が真実であるかという実質的な審査は、訴状が提出されたときには行いません。裁判所としては、訴状が適法に提出された以上、被告に対して訴状等を郵送し、訴訟手続を進めるしかないのです。

弁護士が勝ち目がない依頼を受けないというのはそうかもしれませんが、弁護士は依頼者の話を聞き、依頼者の話が真実ではないと疑うような事情がない限り、依頼者の話が真実であることを前提に事件処理を進めます。訴訟において事実を認定するのは裁判所の役割であり、原告代理人である弁護士の役割ではありません。

貴方としては、訴訟を提起されたしまった以上、対応しないわけにはいきません。答弁書を作成し、裁判所に提出してください。答弁書の中で、訴状に記載されている原告の言い分の中でどこが正しくて、どこが間違っているのかを記載してください。また、貴方の言い分があるようですから、それも答弁書に記載してください。その上で、指定された第1回期日には出頭してください。ご自身で対応するのが難しいようであれば、急いで弁護士に相談してください。

訴状を無視するのは絶対に止めてください。民事訴訟では、期日に当事者が出頭しない場合、相手方の言い分が真実であると認めたことになります。貴方が訴状を無視して、答弁書を提出せず、期日にも出頭しなかった場合、裁判所は、Aさんの言い分が真実であると認定し、おそらくはAさんの請求を全部認める旨の判決を言渡すことになります。その後、Aさんは判決に基づいて貴方の財産(預金、売掛金等)から強制的に損害賠償金を回収するでしょうから、貴方にとっては大変な不利益が生じます。


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