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Q「他の相続人が引継いだ借金を私が支払うことはないですよね?」

父が死亡しました。法定相続人は私と兄です。生前の父は事業を営んでおり、銀行から借金がありました。兄は、父の事業を手伝っていました。兄と私で協議したところ、兄が父の事業を引継ぐこを前提に、兄が父の財産と借金をすべて引継ぐことになりました。この場合、法定相続人間で遺産分割が成立していますから、兄が事業を失敗しても私が借金を支払うことはありませんよね?

A「借金は遺産分割の対象になりません」

負債は遺産分割の対象になりません。

この場合、法定相続分に従い、お兄様と貴方が亡くなったお父様名義の借金を2分の1ずつ相続します。お父様名義の借金をすべてお兄様が支払う、というお兄様との間の合意は、お兄様と貴方との間では有効ですが、銀行との関係では何の効力もありません。お兄様が銀行に対して約定通り支払っていれば問題はありませんが、支払をできなくなってしまうと、借金の2分の1は貴方が支払わなくてはなりません。

貴方としては、まず銀行に相談してください。銀行によっては、お兄様が借金をすべて引継ぎ、貴方は借金を引継がなくてもよいこと(免責的債務引受)にしてくれることがあります。ただし、免責的債務引受けがなされるには、債務引受人であるお兄様だけではなく、債権者である銀行との間でも合意が成立しなくてはなりません。借金を誰に返してもらえるかというのは、債権者にとっては重大な関心があるからです。

銀行が免責的債務引受けに応じてくれないのでれば、家庭裁判所に相続放棄をしてください。相続放棄をすれば法定相続人ではなかったことになり、亡くなったお父様の借金について何の責任も負うことはありません。なお、相続放棄をするには、原則としてお父様が亡くなった日から3か月以内に家庭裁判所に書類を提出しなければなりませんから、お急ぎください。


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