逮捕されてからの少年事件の手続の流れ
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逮捕されてからの少年事件の手続の流れ
1 逮捕 → 2 勾留 → 3 勾留延長 → 4 家裁送致 → 5 観護措置 → 6 家庭裁判所調査官の調査 → 7 少年審判
※「1 逮捕」~「3 勾留延長」までは被疑者(容疑者)が少年の場合でも、成人とほぼ同様の手続きがとられます。
1 逮捕
警察は、少年が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官の発する令状によって、少年を逮捕することができます。
少年が逮捕されると、最大で72時間の間、警察署の留置施設などで身体を拘束されます。この72時間の間(正確には逮捕されてから48時間以内)に、事件の記録が警察から検察官に送られます。
2 勾留
検察官は、少年の身体拘束を継続する必要があると判断した場合、裁判官に勾留の請求をします。裁判官は、身体拘束を継続する理由があると判断すると、勾留の決定をします。勾留が決定されると、最大で10日間は身体拘束が継続されます。
3 勾留延長
検察官は、勾留期間の満期が近づき、さらに少年の身体拘束を継続する必要があると判断すると、裁判官に勾留延長の請求をします。裁判官は、身体拘束を継続する理由があると判断すると、勾留延長の決定をします。勾留延長が決定されると、最大でさらに10日間は身体拘束が継続されます。
4 家裁送致
少年を身体拘束している間、検察官が事件の捜査を進めます。そして、検察官は事件の記録を家庭裁判所に送ります。成人の刑事事件においては、検察官の裁量で不起訴処分(事件を裁判所に送ることなく終結される処分)をとることもありますが、少年事件では検察官の裁量が認められておらず、犯罪の嫌疑がある限り、すべての少年事件を家庭裁判所に送ることになっています。
5 観護措置
家庭裁判所は、少年が身体拘束された事件を受理すると、観護措置をとるべきか検討します。観護措置は、少年を少年鑑別所に送り、一定期間(通常は4週間程度)少年鑑別所に収容する処分です。
観護措置をとるかは、事件が重大なものか、少年鑑別所で少年の心身の状況を調査する必要があるのか、少年が家庭裁判所に出頭しない可能性があるのか、少年を外部の人間の悪い影響から保護する必要があるのかなどの事情を考慮して判断されているようです。 観護措置がとられないと、少年は釈放されます。当面の間は刑事収容施設などに収容されることはなく、在宅のまま手続が進みます。
6 家庭裁判所調査官の調査
家庭裁判所調査官が少年事件の調査を行います。調査官は、裁判官などの法律の専門家とは異なり、臨床心理学、社会学、教育学などの人間科学の専門家です。調査官は、少年や保護者との面接、少年の心理テスト、学校への照会等の行います。
在宅の場合、家庭裁判所から呼出状が届き、指定された日時に少年と保護者が一緒に家庭裁判所に出頭し、調査官との面接などを行います。
調査が終了すると、調査官は、少年審判の前に、少年にどのような処分をするべきかについて裁判所に意見を提出します。実務上は、調査官の意見が強い影響力を持っているようです。
7 少年審判
家庭裁判所で少年審判が開かれます。成人の刑事事件の公判とは異なり、非公開で行われます(ただし、被害者保護の観点から、被害者が死傷している事件では被害者等の傍聴が認められることがあります。)。場所も、いわゆる法廷ではなく、もっと話しやすい部屋で行われます。
審判では、裁判官や調査官から少年や親に対して質問があります。成人の刑事事件とは異なり、証人尋問などの証拠調べは通常は行われません。
審判は、通常であれば1回あたり1時間程度です。特に問題がない案件であれば、1回目の審判で終局決定がされます。
少年事件の終局決定には、次のようなものがあります。
- 不処分
- 犯罪等を行ったと認定できない場合(非行事実なし・成人の刑事事件の無罪判決に相当)、保護処分の必要がないと判断された場合(保護処分不要)などは、不処分となります。不処分となると、特に制限はなく生活することができます。
- 保護観察
- 保護観察とは、少年を施設に収容することなく、保護観察所の指導の下で更生をはかる処分です。少年は自宅で生活することは許されますが、定期的に担当の保護司を訪問して面会し、必要に応じて保護司の指導を受けなければなりません。保護観察の期間は、通常の保護観察(一般保護観察)であれば、少年の生活に特に問題がないのであれば、1年程度で解除されているようです。
- 少年院送致
- 少年が在宅で更生することが難しいと判断された場合などは、少年院送致となり、少年院に収容されて矯正教育を受けることになります。
- 検察官送致
- 少年が重大な犯罪を犯した場合や審判時に20歳以上に達した場合は、事件を再び検察官に送ります(逆送)。以後は、成人の刑事事件と同様にと手続きが進みます。故意の犯罪行為によって被害者を死亡させたときは、原則として検察官送致の決定がなされます。
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